日本ガーデン・コンダクター協会では、様々なガーデンの講座を開催しています!

続いていくことの幸せ / 田中あゆみ

大好きな季節になりました。木々が太陽の光できらきらと緑に輝き、街角や公園で色鮮やかにさまざまな花が咲いています。5月が好きなのは、植物だけでなく虫たちも含め、生命が輝き始めて嬉しそうだからです。

ガーデン写真:5月の光

ガーデン写真:開花するバラ

 5月の光、次々開花するバラ

田舎で育った私にとって、自然は身近にあって当たり前のものでした。祖父母の家の近所には畑が、実家の庭には木々や草花が、室内には観葉植物やその時代に流行っていたセントポーリヤや胡蝶蘭、ポトスやアレカヤシが、外を見渡せば緑の山々がありました。

そんな環境で育った私は、植物を特に意識することなく大人になりました。一人暮らしを始め、何か物足りないと思ったのは、部屋に緑がなかったから…。それ以来、観葉植物は私の部屋になくてはならないものであり、独身時代から育てている植物が今も元気に成長し続けています。

ガーデン写真:観葉植物たち

 長い間一緒にいる観葉植物たち

私がガーデニングを学びたいと思ったきっかけは、あの東日本大震災でした。結婚して専業主婦になった私は、東京で地震を体験。東北の方々と違って被害はなかったものの、かなりナーバスになりました。また地震が来たら、と思うと遠くまで出かけるのは怖い。でも何かしなければ、という思いはありました。

じっとしていても何も変わりません。今まで当たり前だと思っていたことが当たり前ではなく、みんなの努力や気持ちで続いているということ、自然は美しいだけでなく、人間の力が及ばない大きなものであることも初めて考えました。

そして自分のためだけでなく、これからの誰かに役立つことをしてみたいと思うようになった時、偶然、ガーデナー講座が近所で開講されることを知り、受講してみて「これだ!」と思ったのです。

ガーデンニングと聞くと、花壇や色とりどりに植えられたお花畑を思い浮かべる方がほとんどかもしれません。季節が変わるたびにホームセンターなどで苗や種を買い、一年草を植え替える。それまでの私もそう思っていました。

でも、ガーデニングとはもっと奥が深く、自然とのバランスを長い期間で考え、次世代に引き継いでいくものだと知りました。そしてガーデナーとは、その空間を作っていく人のこと。簡単に自然とのバランスと言っても、土、光、水、風などの毎年変わっていく自然状況に加え、数限りなくある植物の性質や土地の気候を考えて空間を作っていく。これは少し勉強したぐらいですぐにできることではありません。

ガーデンニングを勉強している仲間と話すと、例えば東京でも都心と郊外、多摩川を渡った神奈川では同じ種類の球根を同じ時期から育てても、まったく違う成長をすることに驚きます。と同時に、さまざまな環境でも一生懸命成長していく植物たちをかわいく、いとおしく思います。寒い冬を越えて桜が満開になった時、誰もが自然の素晴らしさを感じ、お花見を楽しむ様子を見ると幸せな気持ちになります。

ガーデン写真:冬の桜ガーデン写真:春の桜
 寒い冬を越えて、満開に咲く桜たち 

私は勉強を始めてまだ2年です。臨月を迎え、おなかの子どもが成長して大人になる頃には、私が故郷で当たり前だと思って見ていた風景と同じ風景を見ることができるのだろうか? ここ数年の天候の変化を見るとそう思うことがあります。でも、何もしなければ、何も変わらないと思います。まだまだ知識は少ないですが、これから知識と経験を蓄積させて、何か未来のために役立てることができればと夢を持っています。

そのために、先月のエッセイを書いていた大川さんたちと活動を始めました。時間をかけて作られていくガーデンのように、継続して、一生をかけて活動していきたいと思います。それは、ガーデニングが自分のためだけでなく、誰かのために続いていくことだからです。

毎年、きらきらと輝く大好きな5月を迎えることができますように。子どもが成長した時に、その世代にもきらきらとした季節を残すことができるように、と夢は広がります。

ガーデン写真:テラスの植物

 一番身近なテラスの植物も寒い冬を越えて、年を重ねました。

「陣痛の時に、お花が咲くイメージを持つと陣痛がスムーズに進む」と、ガーデニングとは全く関係のない職種の方から教えてもらいました。私がガーデニングを勉強していることも知らないのに、急に陣痛とお花の話になり、なんだか不思議な気持ちでした。大好きなバラの写真を持ち込んで、イメージしてみようと思います。

ガーデン写真:バラ


田中 あゆみ
大学法学部卒業後、14年間公務員として働く。その間に、ファイリングデザイナー検定1級、インテリアコーディネーター資格取得。結婚を機に退職、専業主婦となる。
ガーデンニング勉強歴2年。現在第1子妊娠中、5月出産予定。

 編集長コラム  今月の~ingな人

「誰かのために続いていく」という視点

ベランダで育てているブドウ。うちに来て6、7年め。 今年初めて、 実をつけました。気長に待つことも大切と教わりました。

心をこめてつくったガーデンや草花を、みんなにも見てもらいたい。ガーデニングを趣味にする人が、そういう気持ちになるのは、ごく自然なことだと思います。 光きらめく5月は、オープンガーデンの季節。友だちの庭を訪ねたり、自分の庭に招いたり。共通の趣味を持つ者同士、話は尽きません。 「この花は何?」「上手に育てるコツは?」「うちの庭と育ち方が違う」 …などと情報交換もできます。

ベランダしかない私は、オープンガーデンに招かれると、大喜びで出かけて行きます。 この5月にも、何件かお誘いがあり、今からわくわくしています。

ところが少々問題が…。
以前は、どんなお庭を見ても、「たくさん種類があるなあ」 「珍しい草花ばかりだなあ」と感心していました。 ところが今は、「バランスがとれているか」 「植物に無理をさせていないか」と気になって仕方がないのです。そして、「ああ、この場所にこの花を植えたら、乾燥してあっという間に枯れちゃうよ」などと、余計な口出しをしそうで、それをぐっとこらえるのに苦労することもあります。

一方、田中さんの言葉にあるように、「ガーデンの奥深さ」を知っている人の庭には、自己満足流の庭とは明らかに違う「時間」と「場」を感じることができます。そこでは、単なるガーデンのノウハウにとどまらず、「自然とのバランス」や「引き継いでいくにはどうしたらいいか」といったことまで語り合うことができます。 始まりは、自分のためにつくる庭。それでいいのだと思います。でもガーデンには、時間と場をみんなで「共有」する喜びもあると知ってもらえたら。

みんなが知恵を持ち寄り、時間を積み重ねていく――。そんな豊かなガーデンを、田中さんは新たな命に手渡していくのでしょう。

編集長/奈良貴子
フリーライター、ガーデン・コンダクター インターメディテイト修了

ガーデン仲間によるリレーエッセイ We love Garden

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