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次の世代に「~ing」の心を伝えていきたい
/ 大川明子

ガーデン写真:ウィーズリーガーデン  ガーデンの素晴らしさを 次の世代に引き継ぐ。ロンドンのウィズリーガーデンにて。

はじめまして。徳田先生のもとで、ガーデンとは何かを学ばせていただいております。大川明子と申します。4月からのリレーエッセイ「We Love Garden」の仲間に入れていただきありがとうございます。

今回の執筆にあたり、昨年の会員コラムを拝読しました。皆さんのガーデンに寄せる想いが熱く伝わってまいりました。それぞれの方と頻繁にお会いすることは、なかなか叶わなくても、ホームページを開けば、そこに仲間がいる…それはなにより元気づけられることだと思いました。

今回、こうして自分が伝える側となった時、何を記したら良いのか、正直悩みました。主婦としての私には、3人の子育てに携わる母という顔があります。そんな普段の私の生活と、「ガーデンは生き物ととらえることが大切」というガーデンの考え方には大いに共通する点があることを感じてきました。母親という立場と経験を通じて、別の角度から改めて学んだことを理解したことも多いように感じています。そこで今回のエッセイでは、そんな日頃の学びの経験から、あるエピソードを取り上げてご紹介してみようと思います。

長女(現在高校3年生)が通った幼稚園では、年長の行事として大根の収穫というものがありました。春、子どもたちが大根のタネを手に握りしめ、園が持つ畑に植えに行き、秋の収穫まで見守ります。収穫した大根は親たちが持ち帰り、お漬物を作り、子どもたちに食べさせていました。

小学校に進むと、5年生はお借りしている田んぼまでイネを植えに行き、秋の収穫まで見守ります。収穫後は、家庭科の時間にとれたお米でご飯を炊く調理実習をしました。長女はこの全てを体験させていただきました。

しかし宅地開発が進み、お借りしていた田んぼも姿を消し、次女(現在中学3年生)になると、校庭でバケツでの稲の栽培。三女(現在小学校6年生)にいたっては、お米を炊く調理実習のみとなりました。

植物を慈しみ、育て、いのちの大切さを教えることは若い世代にとても必要だと感じます。なぜなら、子ども同士の付き合い方が、年々殺伐としたものになっている気がするからです。

それは、学習指導要領の変化や宅地事情など、子どもたちの教育環境の変化に伴い、子どもたちが勉強や習い事に日々忙しく、ゆっくり時間をかけて、いのちを育む機会が減っていることも理由の一つにあるような気がしてなりません。

以前、徳田先生とイギリスへ行く旅にご一緒させていただいた折、本当に多くの驚きがありました。ガーデンの美しさや積み重ねてきた空間そのものの素敵さはもちろんですが、中でも私が一番驚いたのが、そうしたガーデンの素晴らしさを次の世代に引き継ごうとする「熱意」でした。

訪れたWisley gardenには、温室内に根っこZONEなるものがあり、中はちょっとしたアトラクションのように、植物の成り立ちが分かりやすく解説されていました。また、美しく手入れされたガーデンを小学校くらいの子どもたちがデッサンの授業に来ていました。

Kew gardensでは、その年のテーマに沿ったオリエンテーリングが整備され、いろいろな角度から樹や植物に親しめるように工夫されていました。中には、巨木からヘッドホンが子どもの背の高さにいくつもぶら下がっていたりしました。

日本のように、夏休みの観察、宿題のためだけに植物に触れるのではなく小学校、中学校、高校と日常的に、もっと体系的に植物に関わり、ガーデンの素晴らしさを教えてゆくことはできないものでしょうか。そんなことを日々、先生の授業を聞きながら考えております。

昨年3月、考えたならば自分たちから発信することも大切だと思い、共にガーデンを学んでいる仲間が集まり「できること探し」を始めました。それぞれがさまざまな立場と視点を持っていますが、それらを持ち寄るという、まさにガーデンの素晴らしさを伝え、「~ing」し続けること…。一歩ずつでも、明日に向かって、次の世代に「~ing」の心を残してあげられるように努力していきたいと考えています。

写真はツルマサキの苗です。新緑の新芽が!
充実した上級生と元気イッパイの新入生のようです!

ガーデン写真:ツルマサキガーデン写真:イベリス

そして家の庭で何年も放ったらかしだったイベリスが今年また、たくさん咲いてくれました!白の可憐な花びらには、春の訪れを感じます。(隣はチューリップ)近年の異常気象にも負けずにスクスクと生長し、凛と花を咲かせるその姿には感動します!

私も新しい年度に向けて、イベリスのような真っ白な気持ちで取り組んで行こうと、想いを新たにしています。

 


大川明子

横浜市在住。近くのガーデニングショップでアルバイトをしながら、日々ガーデンへの理解と活用できるスキルをアップするためがんばっています。子育てから手が離れ、ガーデンデザイナーとして花開く日を目指しています。

 編集長コラム  今月の~ingな人

子どもたちに、どんな種を手渡すのか?


3月末、長野県で見つけたふきのとう。宝石のような美しさに思わずため息が出ました。 

何もない茶色の土から、ひょっこりと緑の芽が出てきた時の感動は、言葉では言い表せないものがあります。春の芽吹きは復活の象徴。秋に実りを得た植物は、種や球根というかたちで、あるいは宿根で、新しい季節の到来をじっと待つ。こうして脈々と命をつないでいるのだと、我が家の狭いベランダで、小さな鉢植えを見つめながら、しみじみと噛みしめたことがあります。

生まれて、育って、実って、死んでいく。植物も虫も動物も、そして本当は人間だって同じ。生命体の目的はとてもシンプルです。でもその営みには「次の世代、よりよく生きるための知恵」も含まれていることに、ある時気づきました。今を生きる私たちは、先人から何を受け継ぎ、次の世代に何をつなげていくのか。大川さんは、母親としてそのことをリアルに感じていらっしゃるのでしょう。

巨木の息づかいをヘッドホンで聞けるような、楽しいガーデンが日本にも登場すればいいのに。環境教育なんて難しい言葉や理屈を並べなくても、植物に触れることで、子どもたちはしっかり感じとってくれると思います。

編集長/奈良貴子
フリーライター、ガーデン・コンダクター インターメディテイト修了

ガーデン仲間によるリレーエッセイ We love Garden

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