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ガーデンエッセイ

あたらしい扉 / 前村昌也

 引っ越しをするために、家を探して毎週末物を見ていた時でした。

  ある樹木に出会いました、家は古いけれどもこの庭のある家に住みたいと思いました。その日は、4月のある晴れた気持ちの良い日で、その木は庭の真ん中ほどに立ち、花の時期が後半なのか淡いピンクの花が可憐に少し残っている状態でした。地面には 花弁がヒラヒラと落ち、花びらの輪を作っていました。そんな光景にまじかに触れ、なんという素敵な空間なのかと思ってしまいました。名前もわからない小さな木に感動し、こんな風景が家に居ながら味わえることに興奮をおぼえました。又、家の中では障子に映りこむ樹木の影の有機的な造形美の美しさにも魅了されてしまいました。

 家を探している時、庭というものをほとんど重要視せず、土があってちょっと家庭菜園のまねごとでも出来たらいいかなというぐらいしか思っていなかったのですから。その木(ハナカイドウ)が自分をこの世界へ入り込む扉を開かせるカギだったのかもしれません。

 それからは、独学で芝を張ったり、レンガを並べたり、植栽したり、植え替えたり、木々を剪定したり、今思うと恐ろしくデタラメでいい加減なことをしながら庭との付き合いが始まりました。植物の名前も知らず、街路樹はどこも同じ樹木にしか目に映っていなかった自分がいつのまにか「植物・庭」と付き合う仕事に携わるようになっていました。

 庭の仕事をするようになってはみましたが、知らないこと、わからないことばかりでこの講座を受講する事になりました。講座を受講して良かったと思うことがいくつかあります。まずは、庭に対する考え方が変わったことだと思います。庭に関係しているもの「植物」「家屋」「土」「日照」「方角」「天気」「風」ctc、「隣の家」までもが全て関連を持っていて、物事をひとっの方向からだけ見るのではなく、すべての方向から立体的に観察して答えを見つけなければならないということです。そして、そこには必ずリーズンホワイがあるということです。これからは、フレームを完全に理解したうえで個々の知識を深め、柔軟な発想で対処して行けるようになれれば良いと思うのですが、なかなか大変そうです。コツコツ知識を増やしてゆくしかありません。

 もう一つは、全てに愛情を持って接するということが大事なことであると感じました。仕事を遂行する上で、植物やそこに住まう人の事を本当に親身になって考えなければ見えるものも見えてきません。見えないものを見る考え方は、徳田先生の人柄もあるのだろうと思いますが、愛情があるからこそ多方面から検証し、最良の答えを出す考え方が出来上がったのではと思います。

 昨年、我が家の角刈り仕立ての存在感を示していたツゲが突然枯れてしまいました。何十年もの間その場所で生きてきたのに、自分の知識不足が悔やまれます。自然の野山の植物なら訳あってそこに発芽したのだろうと思いますが、庭の草木はすき好んでそこに植えられたのではありません、ましてや彼らは動けませんずっとそこに佇んでいるのですから。

筆者紹介

前村 昌也  (植木職人/風呂敷デザイン)
寅の助 オリジナル風呂敷  HP http://www.toranosuke3.jp
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